金正恩(キム・ジョンウン)総書記の最も有力な後継者とされる娘の新たなファッションが、ある憶測を呼んでいる。
朝鮮中央テレビが5月15日に公開した最新の映像で注目を集めたのは、金正恩総書記とともに新たな市街地の竣工式に参加した、ジュエ氏とみられる娘の装いだった。
顔を近づけ、金総書記の話に耳を傾けるジュエ氏が着るのは濃紺のブラウス。
風にひらめく袖部分を見ると、二の腕の辺りが透けているシースルーであることがわかる。
髪をしっかり整え、シースルーファッションに身を包むジュエ氏。
年齢は11歳か12歳とされている。
同年代の北朝鮮市民がシンプルなシャツにネクタイ姿であることと比較すれば、違いは一目瞭然。
ジュエ氏の“今風”な装いについて、韓国メディアは「若い女の子が…金正恩の娘のジュエ“シースルールック”に北朝鮮が衝撃」と論評した。
そんなジュエ氏のファッションは、これまでも注目を集めてきた。
2022年11月、公の場に初めて姿を見せた際は、比較的シンプルな白のダウン姿だった。
その4カ月後、ミサイル発射実験に現れた際は、日本円で28万円ほどの「クリスチャン・ディオール」とみられる高級コートを着て話題に。
2023年12月の空軍視察時には、まるで父・金総書記とのペアルックのようなド派手な革のコートとサングラス姿が目を引いた。
甲南女子大学・鴨下ひろみ准教授は、「“ジュエ氏”は特別な存在である」ことをファッションを通じて当局が再三にわたりアピールしているとしたうえで、北朝鮮市民の複雑な思いを「(Q. 批判を胸の内に秘めている人も?)それはいるかもしれないですね。いるかもしれないですけど、それを公然と批判することは、ほぼできないと思います」と推測する。
肌の露出を含め、一般市民の服装については、保守的な考えを浸透させている北朝鮮。
最近、北朝鮮内で放送されたイギリスの園芸番組では、出演者がはいていたジーンズにまで、なぜかぼかしを入れて放送する場面が。
これは、欧米や韓国など、いわゆる西側のファッションをまねることを禁じる狙いがあったとみられている。
一般市民の服装が厳しくチェックされる一方、ジュエ氏が今回お披露目した“シースルーファッション”は、これまでの当局の方針とは相反するといえるもの。
北朝鮮の市民の間に反感が起きかねない中、当局にも変化が見えていると専門家は指摘。
甲南女子大学・鴨下准教授は「TikTokで見られるような、ミュージックビデオの表現ですとか、そういった部分では韓流の手法を取り入れて、若者の支持をつなぎ留めようと工夫を凝らしている」と話している。
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